真・の・ブログ

日常的な事、ちょっと考えさせられるような事、まじめな事、不真面目な事、料理の事自転車の事等々等々、音楽の事以外の事を徒然と書き綴っていくつもりです。 が、どうなるかはわかりません。

中村新太郎

さて、第二弾は僕のトリオのベーシスト、中村新太郎さんをご紹介させていただきたく思います。

僕には、心の中で恩師だと思っている人が何人かいます。
新太郎さんも僕にとってその一人です。
とはいえ、新太郎さんとの共演は、僕が20から25ぐらいの間のほんの4、5回彼のトリオで演奏した事があることと、セッションのライブで何度か演奏させてもらった事がある程度です。
しかし、その10年以上前のひとつひとつのライブ全てに、心に残っているシーンがあります。


僕が20歳かそこらのまだ何も解らん頃に、新太郎さんのトリオで、竹田達彦というすばらしいドラマーと共演した時の話でした。
枯れ葉を演奏していました。
ステージの最後の曲でした。
僕はいつもの様に演奏したのですが、全く盛り上がってくれません。
ベースはいつまでも2フィールのまま、ドラムもいつまでたってもブラシからスティックに持ち替えてくれません。
ああでもない、こうでもないと僕は色々演奏上で工夫しました。
そしてある瞬間、ここや!!というポイントが見えてきました。
音楽はそこではじけ、解放され、新太郎さんのベースはうねる様にランニングをし始め、達彦さんはスティックに持ち替え、そしてそのコーラスはソロの最後のコーラスとなりました。
会心の出来でした。

音楽は、そう簡単には動いてくれない事、見えるまであきらめずに演奏する事、そして続けていると見えてくるもんなんだ、という事を学びました。

また、スタイルで音楽をする事はとても愚かである事も学びました。

トランぺッターの唐口一之さんという、ハードバップの継承者ともいうべきすばらしい音楽家が関西にはいます。
そのプレイは本当にビューティフルで、エモーショナルで、それでいて整理されています。
彼はハードバップのスタイルで演奏します。
僕は、彼と共演するのがとても楽しみで、ぼくは唐さんと演奏する時、自らのスタイルではないハードバップのスタイルで演奏しようとしていました。
その方が唐さんも喜ぶだろうし、と思ってました。
そんなある日、ベーシストが新太郎さんでした。

僕のソロの時、僕には彼のベースはこういっている様に聞こえました。

自分のプレイをしろ。

唐さん程の人と「共有」するのは、スタイルではないはずです。

スタイルの共有は、趣味でしかない。
音楽とは、己をぶつけ合って、それが昇華してはじめて共有することが出来るのです。


このように新太郎さんは、口で何かをいって教えてくれたというよりは、ベースで奏でられた音から色んな事を教えてくれました。
実は、言葉として何かを指摘してもらった事は皆無に等しいです。

また、彼は僕に何かを指摘しようと思って演奏していたかというと、多分、いや100%そんな事は考えずに演奏していたはずです。

彼は、自分の美意識に忠実に、意味のある音を出し続けようとしているのです。
だから、僕は彼と音を交わらせることで、色んなことを感じ、学ぶことが出来たのです。

僕も今、後輩達にとってそういう存在でありたいと思っています。


そして、何よりも最も尊敬すべき点として、彼は、絶えず、本当にいつでも、ほんまにいつでも、新鮮に音楽を演奏します。

これは本当に驚愕する点です。

これこそが即興演奏なんです。

出来そうで出来ないことです。

即興とは、スタイルが即興である事ではない。ピアノを拳で叩くことが即興ではない。

精神が即興である事だ。

僕のトリオは音楽的にも即興の要素は大きいですが、きっと彼は、アレンジされた譜面を演奏するコーラスグループの「Breeze」(ちなみにBreezeの磯貝は僕の大学の後輩)のバックバンドをやっている時でも、同じ様に即興的であるはずです。

聞くまでもなく、僕にはわかるのです。

また、彼のベースは、ジャズという範疇や、ベースという範疇を軽く越えちゃってます。
それなのに、めっちゃジャズなんです。

一体、今まで何を聞き、何を学んできたら、そういうベーススタイルになるのだろう?と思います。

The Only です。

コントラバス、という楽器を知り尽くしているかの様な。

コントラバスという楽器を、自らの口から出る言葉や歌の様に自由自在に操ります。

そういう人のプレイだから、僕は言外に多くの事を学ぶ事が出来たのでしょう。

今、僕は彼の共演無くして自分の音楽を表現する事は出来ません。
中村真トリオは、新太郎さん無しにはあり得ません。


掛け値無しに日本一のベーシストです。

また彼のプレイを聞かずに日本のジャズベーシストを云々してほしくない。

一度是非、聞いて下さい。僕のトリオ、といわずに。
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  1. 2006/09/09(土) 13:53:56|
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